メモリ高騰でスマホ価格がじわじわ上昇中

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生成AIが引き起こした部品争奪

「メモリ」はスマートフォンやパソコンなどが動作する際に一時的にデータを置くための部品。


正式にはDRAMと呼ばれ、スマートフォンでは消費電力を抑えた専用タイプのメモリが使われている。
近年、このメモリがスマートフォン向けよりも、生成AIを動かすためのサーバーやデータセンター向けに優先して使われる傾向が強まっている。生成AIは学習や推論の際に大量の計算処理を行い、その過程で非常に多くのメモリを必要とするためだ。
その結果、メモリを作るための材料や製造設備が、より利益率の高いAI関連用途へ振り向けられやすくなっている。
スマートフォン専用のメモリは規格こそ異なるが、製造ラインや原材料を共有している部分が多く、需要の集中が起きるとスマートフォン向け供給にも影響が出る可能性が高い。

グラフでみるメモリ需要増加とHBMメモリ

下の棒グラフは、海外メディア情報を元にAIデータセンターのメモリ需要を2023年を指数100とした時の2030年までのデータセンターのメモリ需要を予想したグラフです。

グラフ全体で特に赤のHBMメモリが最も高く伸びます。HBMはメモリを縦に積み重ね、データを超高速でやり取りできるAI専用の特殊メモリで、大量計算を支えます。青のDRAMと緑のデータセンター容量も追って増え続ける予想です。

2026年に予測される価格上昇【迫るスマホ高騰の影】

メモリ不足の影響は、単純に「部品が足りない」という話にとどまらず、最終的にスマートフォン販売価格へ反映されやすい。

スマートフォンの製造コストは、複数の部品を積み上げた合計で決まる。その中でメモリは比較的高い割合を占めている。とくに低価格帯や中価格帯の端末では、全体の部品コストの中でメモリが占める比率が大きく、価格変動の影響を受けやすい。これまでメーカー側は、ある程度のコスト上昇を内部で吸収してきたが、メモリ価格が継続的に上がると、その方法を続けることが難しくなる。
その結果、2026年以降は、低価格帯モデルを中心に数%単位の値上げが起きる可能性が高い。高価格帯モデルであっても、価格を下げる余地が小さくなり、全体として端末価格が下がりにくい市場構造へ変化していく。

現状はスマホ部品の値上げが始まっている

スマホへの影響はもう始まっており、スマホの部品コスト(BoM)がすでに10-25%上昇、特に低価格エントリーモデルで20-30%増。2026年第2四半期までにメモリ価格がさらに40%上がれば、スマホ平均価格は8%前後上昇の見込みである事が大手ニュースブログメディアが報じています。

メモリ削減による性能低下

価格上昇を避けるために、メーカーが取り得る選択肢は限られている。ひとつは端末価格を上げること、もうひとつは部品構成を見直してコストを抑えることだ。後者を選んだ場合、影響が出やすいのがメモリ容量になる。
メモリは「作業机の広さ」に例えられることが多い。机が狭いと、一度に広げられる資料が減り、作業のたびに入れ替えが必要になる。同じように、メモリが少ないと、アプリの切り替えが遅くなったり、裏で動いていたアプリが止まりやすくなったりする。
さらに、端末内でAI処理を行う機能は、従来の機能よりもメモリを多く消費しやすい。メモリ容量を削った端末では、AI機能が制限されたり、動作が不安定になったりする可能性が高まる。ただし、必要なメモリ量はAIの設計や軽量化の度合いによって変わるため、一律の基準があるわけではない。

ユーザー層の二極化

価格上昇と性能調整が同時に進むと、スマートフォンの選ばれ方にも変化が生じる。

十分なメモリを備えた高価格モデルを選ぶ層と、価格を抑えた構成のモデルを選ぶ層に分かれやすくなる。
とくに中価格帯は影響を受けやすい。価格を抑えるためにメモリが削られると、数年後のアプリの大型化やOS更新に耐えられず、結果的に買い替えが早まる可能性がある。その場合、端末価格は安く見えても、長期的な支出は増えることになる。
この構造は、個人の価値観というよりも、部品コストが上昇した市場で起きやすい自然な分かれ方といえる。

中古市場と長期利用の現実性

新しい端末が値上がりし、なおかつ一部で性能調整が行われる場合、相対的に中古端末の価値が高まりやすい。

同じ予算で比較した場合、数年前の高性能モデルのほうが、新品の低価格モデルよりも快適に使える場面が増えるためです。これは中古端末が必ず優れているという意味ではなく、「同じ金額で得られる性能」という観点での比較になる。加えて、メモリ不足が短期間で解消される見通しが立ちにくい以上、今持っている端末を丁寧に使い、できるだけ長く利用する選択も現実的になる。
市場全体としては、買い替えを急がず、既存端末の延命や中古端末の活用を検討する動きが増えやすい状況といえる。

スマホ選びの前提変化

メモリ高騰は、スマートフォンが突然使えなくなるという極端な話ではないが、
これまで当たり前だった「同じ価格帯で毎年性能が大きく向上する」という前提が崩れ初めている現実を示している。

メモリ価格が上がり、供給が不安定になると、単純に部品を増やす進化は難しくなる。その代わり、ソフトウェアの最適化や機能の取捨選択によって体験を維持する方向へシフトしやすい。
そのため、今後のスマートフォン選びでは、最新機能が必要か、端末内でのAI処理が本当に必要かといった点を整理し、自分の使い方に合った構成を見極めることが重要になる。価格だけでなく、中身が維持されているかどうかを見る視点が、これまで以上に求められるようになる。


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