Apple M5チップ搭載モデル【静かなる新作発表】
日本時間の10月15日夜、
Appleは公式サイトを静かに更新し、新しい M5チップ を使った3つの「プロ」モデルを発表。
今回登場したのは MacBook Pro(14インチ)、iPad Pro(11/13インチ)、そして Apple Vision Pro の3つ。

今回のApple新作は、
どれも外見はほとんど変わらず、中身の性能だけが大きく進化した。
今回の改良は特に AI(人工知能)処理・グラフィック性能・通信速度・バッテリー効率 に力を入れている模様。
iPad Pro(M5)の進化ポイント

新しいiPad Proは、これまでと同じく 11インチと13インチ の2サイズで、カラーも スペースブラックとシルバー のまま。外見はほとんど変わらないが、中身の性能が大きく上がっている。
M5チップを搭載したことで、アプリの動きがより速くなり、AIを使った画像処理や動画編集などもスムーズにこなせるようになった。カメラは横向きにしたとき中央にあるため、ビデオ会議がしやすい設計が続いている。
通信面では、次世代の Wi-Fi 7 に対応し、Bluetoothなどをまとめた Apple独自の無線システム(N1) を採用。セルラーモデル(SIM対応版)には C1Xチップ が搭載され、より速く安定した通信ができる。
| 項目 | M4以前 | M5(N1搭載) |
|---|---|---|
| Wi-Fi規格 | Wi-Fi 6Eまで | Wi-Fi 7対応 |
| 通信速度 | 最大9.6Gbps | 最大46Gbps |
| 周波数帯 | 2.4/5/6GHzのいずれか | 複数帯を同時使用可能 |
| Bluetooth制御 | 個別チップ制御 | N1で一体制御 |
| メリット | 通常速度 | 高速・低遅延・省電力・安定通信 |
Wi-Fi 7対応+N1搭載によって、通信が「速く」「安定し」「省エネ」になったのがM5世代の強みです。
内部ストレージの読み書き速度も速くなり、3Dの映像処理や動画の変換(トランスコード)なども短時間で終わる。
メモリは 256GB/512GBモデルが12GB、1TB以上のモデルは16GB。高容量モデルではCPUのコア数も増えて、
より複雑な処理に強くなっている。
価格はM4モデルとほぼ同じで、11インチが16万8,800円、13インチが21万8,800円。
発売日は 10月22日 で、すでに予約が始まっている。
Wi-Fi 7とは何か

Appleの従来モデルは Wi-Fi規格がWi-Fi 6E までの対応でしたが、今回のM5世代では Wi-Fi 7(IEEE 802.11be) に対応しました。Wi-Fi 7は、今後主流になる次世代の無線通信規格で、以下のような特徴があります。
- 通信速度が約2.4倍速くなる(理論値で最大46Gbps)
- 複数の周波数帯を同時に使える(2.4GHz/5GHz/6GHzを同時通信)
- 通信の遅延が減る(応答が速い)
- 混雑した環境でも安定しやすい(カフェやオフィスなどで強み)
つまり、動画編集で大容量ファイルをクラウドへ保存したり、AirDropやiCloud Driveでデータを送るときに、
待ち時間が大幅に短くなります。
また、オンライン会議やストリーミング中も、回線が混み合いにくくなります。
Apple独自の無線システム「N1」とは

「N1」は、Wi-Fi・Bluetooth・Thread(スマート家電向け通信)などを
ひとつのチップで制御する新しい通信プラットフォーム です。
以前のモデルでは、Wi-Fi用とBluetooth用にそれぞれ別のチップがあり、信号の切り替えや干渉が起こりやすい構造でした。N1ではこれらの通信チップを一つに統合、まとめて制御することで、次のような利点があります。
- 接続の切り替えが早く安定する(たとえばAirPodsやApple Pencilの接続)
- バッテリー消費が減る(通信チップの電力効率が向上)
- スマートホーム機器との連携がスムーズ(Thread対応で、HomeKitやMatterとの通信が強化)
このため、iPad Proを使ってイヤホン・Apple Pencil・Mac・iPhoneなどを同時に接続しても、
通信が途切れにくく、レスポンスが良くなります。
MacBook Pro 14インチ(M5)の特徴

MacBook Proは 14インチモデルのみ 発表。
M5 ProやM5 Maxなどの上位版CPUや16インチモデルといった大きいサイズは今回は出ていない。
外観やポート(接続端子)は以前のモデルと同じで、Thunderbolt 4ポート×3、HDMI、SDカードスロット、MagSafe、ヘッドホン端子 を装備。
ディスプレイも14.2インチの高輝度Liquid Retina XDRパネルを引き続き採用している。
カメラは12MP、マイクは3つのアレイ構成、スピーカーは6基のシステムを搭載しており、音と映像のクオリティは前モデルと同等だ。
メモリは 16GB/24GB/32GB を選べ、ストレージは最大 4TB。バッテリーは最大 24時間 も持続する。
価格は 512GB構成で24万8,800円、4TB構成で42万8,800円 程度。Xcodeでのアプリ開発や3Dレンダリングなど、重い処理でも動作が安定する。
MacBook Pro 14インチ(M5)のWi-Fi7とN1の恩恵は?
もちろんMacBook Pro 14インチ(M5)も、 Wi-Fi 7対応 と Apple独自の無線システムN1 が搭載。
Wi-Fi 7は最大46Gbpsの超高速通信、2.4/5/6GHzの複数帯域を同時利用でき、混雑したネット環境でも安定した速度を維持します。N1チップはWi-Fi・Bluetooth・Threadを統合して制御でき、AirPodsやiPhoneなどの接続がより速く途切れにくくなり、遅延も低減。省電力設計によりバッテリー消費を抑えつつ、大容量データ転送やクラウド作業、オンライン会議などもスムーズな通信が可能。
AI専用回路ニューラルアクセラレータ
M5チップはAI処理がより速くなるように改良された点として、
従来のNeural Engineに加えて、新たにGPU内に「ニューラルアクセラレーター」というAI専用回路が組み込まれた。
各コアにNeural Acceleratorを備えた次世代の10コアGPUアーキテクチャを導入し、既存のM4と比較して4倍を超えるピーク時のGPU演算性能を発揮。Mシリーズでは初めて導入された仕組みで、グラフィック処理とAI処理を同時に行える構造になっている。
これで、画像生成や音声認識などのAI関連作業をGPUが直接分担でき、処理スピードと効率が向上した。
Appleによると、M1チップと比べて最大6倍のAIパフォーマンスを発揮、バッテリー消費も抑えながら高い演算力を維持する。この改良は、生成AIを活用する機能やApple Intelligenceの動作を支える基盤強化となる。
Apple Vision Pro(M5)の改良点
Vision ProもM5チップを搭載し、映像処理と操作のスピードがアップした。
CPUとGPUはそれぞれ10コア構成で、AIを動かす「ニューラルエンジン」は16コアに拡張されている。
これにより、立体映像の描画や空間認識の処理がより滑らかになった。

ディスプレイはこれまでより 10%多いピクセル数 を表示でき、最大120Hzのリフレッシュレート に対応している。
映像がよりなめらかに動くようになり、長時間の使用でも目の疲れを感じにくい。
バッテリーは 2.5時間→3時間 に延び、新しい Dual Knit Band により装着感も向上。旧モデルのバンドとも互換性があり、長時間でも安定した装着ができる。
各モデルの位置づけと買い替えの考え方
今回のM5シリーズは、見た目を大きく変えずに中身を強化した“性能底上げ型”のアップデートだ。
すでに M4モデルを使っている人 は、日常作業では違いを感じにくいが、
M3以前のモデルを使っている人 にとっては処理速度や通信性能の向上を実感できる可能性が高い。
iPad ProはWi-Fi 7への対応やメモリ強化で長く使える設計になり、MacBook Pro 14インチはM5世代の基準となるモデル。Vision Proは映像と装着の快適さを両立し、体験の質を一段上げている。
この世代で期待できるのは、AIや3D処理がより速く、作業効率が上がること。また、無線通信が強化されたことで、クラウド作業や動画編集のデータ転送がよりスムーズになる。
今回のApple新製品の特に活用できる場面
それぞれ今回のApple新発売モデルが得意とする用途として、

- iPad Pro(M5):動画編集やイラスト制作、AIを使った写真の加工など。Wi-Fi 7対応で大きなデータのやり取りも快適。
- MacBook Pro 14インチ(M5):プログラミング、映像編集、AIモデルの開発など、高負荷作業を長時間こなせる。
- Apple Vision Pro(M5):高画質な3D映像の視聴や仮想空間での作業。リフレッシュレートが上がり、長時間でも目が疲れにくい。
今回のM5世代は、外観の変化こそ少ないものの、
内部性能の進化で“プロ向けモデル”らしい実用的な進歩を感じさせる構成となっている。


