CPUの個体差?PCマニアお馴染みの歩留まりとは?

「同じ製品なのにどうしてすぐ壊れるモノと長年使えるモノがあるの?」

実はこの疑問に大きな影響を与えている事実は製造過程の個体差にもあります。もちろん、パソコンやスマホに限らず一番重要なのはモノの使い方や扱い方であることは言うまでもありませんよね?

今回はCPUの製造過程で起こる性能の個体差、PCマニアでは誰もが知る「歩留まり」について解説します。

目次

歩留まりとは【ぶどまり】

歩留まりとは、製品がどれだけ効率よく作られるかを示す指標です。原料を使って製品を作る際、どれだけの割合で良品が得られるかを指します。歩留まりが高いと、材料を無駄にせずに多くの良品を生産できます。反対に、歩留まりが低いと、多くの材料が不良品となり、廃棄されてしまいます。

例えば、肉の品質評価にも歩留まりが使われます。肉質の評価はA5やB3などのランクで表され、A5が最高ランクとなります。このように、歩留まりは製品の品質やコストに直結する重要な指標です。

半導体における歩留まり

半導体業界において歩留まりは、特に重要です。半導体の歩留まりが悪いと、製造コストが高くなり、最終製品の価格にも影響します。そのため、半導体メーカーは歩留まりを改善するために様々な工夫を行います。

例えば、ダイサイズを小さくすることが挙げられます。小さいダイサイズはシリコンウェハーから切り出す際の効率が良く、欠陥の影響を受けにくくなります。これにより、良品率が高くなります。

歩留まりを改善する方法

歩留まりを改善するための他の方法としては冗長性を持たせるという方法があります。これは、CPUやGPUのコアを多めに作ったり、定格動作クロックを限界よりも低く設定することです。このような工夫により、欠陥が発生しても性能を維持できるようになります。

例えば、NVIDIAのGeForceシリーズのRTX 2080 TiとTitan RTXでは、前者が量産品として歩留まりが重視されており、後者は高性能なフルスペックモデルとして存在しています。RTX 2080 Tiはコストを抑えるために、コア数やクロックが少し抑えられています。

半導体の選別と当たり外れ

半導体は、製造後に性能によって選別されます。例えば、IntelのCore i9-10900Kとその下位モデルであるCore i9-10850Kでは、わずかなクロックの違いがあります。これは、製造過程での性能差によるもので、選別によって上位モデルになりきれなかったダイが下位モデルとして利用されることがあります。

また、AMDのRyzenシリーズでも同様の選別が行われています。これにより、製品ごとに性能のばらつきが生じることがありますが、オーバークロックの際には当たりのダイを引くと高クロックで安定動作するメリットがあります。

当たり外れの見分け方

パソコンの有識者の間では、当たり製品のCPUやGPUは定格動作時に低い電圧で安定動作し、オーバークロック耐性が高いことが多い傾向があるそうです。反対に、外れのダイは高い電圧が必要で、発熱も多くなります。

特定のロットや製造時期に当たりが集中することがあるため、それを基に製品を選ぶ方法もあります。しかし、これはあくまでガチャ的要素が強く、確実に当たりを引く方法はありません。

まとめ

CPUやGPUの当たり外れは歩留まりと選別によって決まります。歩留まりが高い製品は効率よく製造され、選別によって性能が分類されます。当たりの製品はオーバークロック耐性が高く、外れの製品は発熱が多くなります。確実な方法で当たりを引くことは難しいですが、特定のロットやステッピングを狙うことで高性能な製品を手に入れるチャンスがあるかもしれません。 

「ステッピング」とは、CPUやGPUの製造過程で行われる改良や修正のバージョンを示す識別子です。新しいステッピングでは、性能や安定性が向上することが多いため、特定のステッピングを狙うことで高性能な製品を手に入れやすくなります。

製造の歩留まりと選別の仕組み

つまり、歩留まりとは、超高性能なロボットですらパソコンの心臓部であるCPU回路を製造していると、出来の良いものと悪いものができてしまうということです。これらのCPUは仕分けされ、優秀な部位を組み合わせて最上位モデルとして販売されます。その後、残りの部位から下位ランクの製品が順に作られるわけです。このプロセスを通じて、消費者は様々な性能の製品を選ぶことができるのです。

この仕組みを理解することで、製品選びに少しでも役立つ情報を得ることができるでしょう。

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