2026年までに発売されたベイパーチャンバー搭載の一部端末一覧
| 機種 | メーカー | 日本発売日 | 冷却構造 | 特徴 |
|---|---|---|---|---|
| Galaxy S25 Ultra | Samsung | 2025年2月14日 | 大型ベイパーチャンバー | AI処理や高負荷ゲームでも発熱を抑える設計 |
| Xperia 1 VII | Sony | 2025年6月上旬 | 大型放熱構造(VC系) | 4K撮影や長時間使用時の温度上昇を抑制 |
| Xiaomi 15 Ultra | Xiaomi | 2025年3月18日 | IceLoop冷却(VCベース) | カメラ処理や重負荷処理時の熱分散を強化 |
| ROG Phone 9 Pro | ASUS | 2025年1月 | 大型ベイパーチャンバー+複合冷却 | 長時間ゲームでも性能低下を抑える設計 |
| iPad Pro 13インチ(M4) | Apple | 2024年5月15日 | 高効率放熱構造(VCに近い構成) | 薄型でも高性能を維持するための内部放熱強化 |
Vapor Chamber(ベイパーチャンバー)は、簡単に言えば「熱を薄く広く逃がすための金属板」です。スマホ、ノートPC、ゲーム機、サーバーなど、熱が集中しやすい機器でよく使われています。
特に最近の高性能スマホでは、本体が薄いのにCPUやGPUの性能が上がり続けています。すると内部の一部だけが極端に熱くなる「ホットスポット」が発生しやすくなります。
そこで使われるのがVapor Chamberです。
普通の金属板は、熱を金属そのものの伝導で広げます。一方Vapor Chamberは、中に入った液体が蒸発と凝縮を繰り返しながら熱を運びます。この仕組みのおかげで、かなり効率よく熱を分散できます。
真空構造と液体循環
Vapor Chamberの内部は真空に近い状態になっています。中には少量の液体と、「ウィック」と呼ばれる細かい多孔質の層があります。ウィックはスポンジのような役割を持っています。液体を保持しながら、内部を循環させます。

熱が加わると、熱源付近の液体が蒸発し、蒸気になると圧力差で内部を移動し、温度が低い場所へ広がります。
その後、冷えた壁面で蒸気が液体へ戻ります。この時に熱を外へ放出します。
戻った液体はウィックを通って再び熱源へ戻ります。この循環をずっと繰り返しています。
ヒートパイプとの違い

Vapor Chamberは、ヒートパイプとかなり近い技術です。
ヒートパイプは細長い管の中で熱を移動させます。熱を「線」で運ぶイメージです。
一方Vapor Chamberは平たい構造なので、熱を「面」で広げられます。
つまり、熱を一方向へ逃がすだけでなく、広い範囲へ均一に分散しやすいのが特徴です。スマホや薄型ノートPCで使われやすい理由もここにあります。限られた面積の中で熱を拡散しやすいからです。
薄型機器との相性

Vapor Chamberは非常に薄く作れます。
そのため、内部スペースが厳しい機器と相性が良いです。
例えば最近のスマホは、薄型化しながら高性能CPUを搭載しています。動画編集、ゲーム、AI処理、4K撮影などを行うと内部発熱がかなり増えます。
冷却性能が不足すると、
- 本体が熱くなる
- 性能が自動的に下がる
- バッテリー劣化が進みやすくなる
- フレーム落ちが発生する
といった問題が出やすくなります。
Vapor Chamberは熱を局所集中させず、本体全体へ広げやすいため、こうした発熱対策として使われています。
素材選択と内部構造
Vapor Chamberは、用途によって素材が変わります。
よく使われるのは、
- 銅
- アルミニウム
- チタン
です。
内部液体には水が使われることが多く、ウィックには焼結銅粉という細かい金属粒子が使われる構造が一般的です。焼結とは、細かい粉末を焼き固めて多孔質にする加工です。
また、内部には小さな支柱も入っています。これは真空状態で外壁が潰れないよう支えるためです。見た目はただの金属板でも、中はかなり複雑な構造になっています。
冷却性能の限界
Vapor Chamberは万能ではありません。熱を効率よく広げられますが、処理できる熱量には限界があります。
極端な高熱が加わると内部圧力が上昇し、構造に負荷がかかります。
製品によっては500W付近が限界とされるものもあります。
また、Vapor Chamberは熱を「消す」わけではありません。あくまで熱を広げて逃がしやすくする技術です。

最終的には、
- ヒートシンク
- ファン
- 本体フレーム
- 外装金属
などを通じて外へ放熱する必要があります。
そのため、Vapor Chamber単体だけで冷えるわけではなく、冷却システム全体の一部として使われています。
